「続・転機 オーストラリア留学をしていた青年の挑戦」
2015.11.21
今回は実際に私が留学中に出会った青年の話を書いてみます。
その彼は、ブリスベンにあるスクールに通っていました。
そのスクールは日本の高校を卒業して、あまり決まった進路もなく、目標もなく、
なんとなく留学という人が多くいたように思えます。彼もそこに通って2年目だったのかと思います。
出会った初めの印象は学生ビザの留学ではなく、ワーホリで来ているかのように映りました。
それは英語力もそうですが、学びに来ているというより遊びに来ているというように見えたからです。
(念のため、全てのワーホリがそうとは言いません。あくまでも私のその当時のイメージです)
学校が終わると飲みに行って、カジノへ行って、センターモールで時間をつぶして、そんな日々を過ごしていました。
唯一、楽しんでいたのはサッカーで、それが私との共通点でした。
近くにあるインドアスポーツセンターでフットサルのようなものを週2日ぐらい行っていて、
近隣のスクールとの大会などあり、その時は生き生きとしていました。
高校までずっと部活でサッカーをしていて、唯一心から楽しめるものだったのかもしれません。
そこには彼と同じような青年が約10名ぐらいいたかと思います。
ひょんなことから彼らと一緒にその大会に出ることになり交流の場は増えました。
少し年上で、社会経験もありそんな自分を近所の兄さんのように慕ってくれた2名がいました。
もちろん彼がそのうちの一人です。
色々な話をするうちに彼が思いを打ち明けてくれて、
「実は何してるんだ自分と思うことがあります。なんとなくでオーストラリアに留学で来て、
特に明確な目標もなく日々海外生活をしているというだけの自分。だからそこまで英語も成長しているわけでもない。
ただ親に出しているお金はたくさんかかっている。これでいいのかと・・」
まさに自分にはそう見えていたし、自身でもわかっていたのです。
私は自分の経験を交えて色々な話をしました。そして選択肢は二つあるんじゃないかと伝えました。
一つは来てしまったのだから卒業はしてその間に何かを見い出す、
もう一つは何かもっと打ち込めるものがあるならスパッと切り上げて日本へ戻る。
彼は色々考え後者を選択しました。
「自分が好きなのも、今まで一番努力したのもサッカー。なのでサッカーに携わる仕事がしたいです!」
かれは力強く言いました。その時の目は今までとは違っていました。
それから彼は日本に帰り勉強をし日本の大学に入り、必死に学びました。
私もワーホリの1年を終え日本に帰国し、度々連絡を取り合いました。
彼が目指したのはスポーツトレーナーで、そしてサッカーチームのトレーナーになるのが目標でした。
そして今現在彼は何をしているかというと・・、
目標を実現しJリーグのトップチームのトレーナをしています。目標を叶えたのです!
今、Jリーグの最高峰リーグに上るための最後のペナント争いをしています。
出会って彼に小さなきっかけを作れたことを嬉しく思い、そして彼を誇りに思います。
オーストラリアに行ったのが遠回りという人も、オーストラリアの学校を途中で投げ出してという人も、
様々なことを思う人がいます。
ただ、自分はオーストラリアに留学したことに意味は必ずあると思うし、
前回に述べた「留学は目的でなく手段である」、それを彼は実行したと思います。
ただ、それも立てた目標を実現した彼がいるからこそです。
彼は言ってました、「あの時オーストラリアではやり切ることはできなかったけど、
それでも少し出来るようになった英語で外国人選手とコミュニケーションが取れる。
トレーニングをする上でそのコミュニケーションが取れることは重要です。
自信を持って言える留学ではないですが、やっぱり意味はあったんですかね(笑)」
留学中に色々悩むことはあると思います。
留学期間を完結する、そこで成果を出すのが一番だとは思います。
ただ、悩み完全に立ち止まるよりは、悩みながら少しずつ進む方法もあると思います。
これも一つの留学の「転機」であり形かと思います。
そしてもう一つ。
この彼との関係が今の仕事に興味を持つ一つの理由になったことは確かです。
私にとっても転機だったのです。
「ワーホリWEBにて連載をしています。こちらも掲載した記事です」